垂直落下式サミング

平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
去らばストロンガー。横並びの昭和組。本来だったら昭和代表は「栄光の7人ライダー」のはずなのだろうが、ストロンガーはカブトにやられたから、横並びの一番右端はブラックになってる。カブトムシモチーフ対決を制するは、天道総司。昭和オヤジ相手にクロックアップするのは鬼畜生すぎやしませんか。
ライダー大集合ってことで、ディケイドが出張ってきてメインでストーリーを引っ張らなきゃだから、またもクッチャクチャな破綻物語になるんじゃなかろうかと懸念したけど、なかなかどうしてまとまっていて観やすい。
一応は、「強大な敵を倒すために仲間あつめをする」というわかりやすい動機がストーリーの本筋になっているし、平成ライダーと昭和ライダーが思想信条的に対立するにいたるロジックが一応はあるため、ムービー大戦のなかではストーリーがいいほうの部類だと思う。一応ね。
これまでのムービー大戦では、あくまでも助っ人に徹していた過去ライダーたちが、準主役級の役割を与えられてガッツリと本編にからむ。
特に、ディケイドの門矢士が予想外によくて驚いた。主役が仏頂面俺様系でストーリーも暗いから、ディケイドはあんまり好きじゃないシリーズだったんだけども、役者さんがキャリアを重ねて演技スキルが向上したのか、表情豊かにイキイキとお芝居をしていて、ドラマ部分も楽しくみられた。ちゃんと自分の物語をみつけたんだな。しみじみ…。
ダブルの翔太郎に関しても、半熟ものからホンモノのハードボイルドに…。特別ゲストのファイズの半田健人もだし、Xライダーの速水亮は当然というべきか、やっぱり人間歳を重ねると厚みが増して見応えがする。
そう思いながらみると、このシーズンの主人公であるはずのガイムの人は、ちょっと演技が危ういっていうか、若いなって感じ。この人が一歩引いて、過去ライダー役者たちにドラマ部分の見せ場を譲っているのがシナリオのファインプレーだったと思う。
確かに、かつてライダー俳優を経て人気者になっていった人たちも、テレビシリーズ放映時に気のきいた演技してたかって言ったら、そんなことなかったかも。仮面ライダーは、若手俳優の登竜門で芝居道場なんだな。新人を見守ろう。
クライマックスは乱痴気騒ぎ。情報量が多すぎて処理できない。ZXこと菅田俊のVシネ感。スーパー戦隊も出てくる。電王が人気過ぎて贔屓されるのは複雑かな。フォーゼの声は福士蒼汰じゃなくて残念。そんで、なんやかんや事態が解決したかに見えたのに、まだまだもうひと悶着ある。疲れるよ。仲良くしなよ。
本郷猛が、「貴様らの生ぬるい優しさがこの事態をまねいたのだ!」と、若造たちにあまり納得のできない説教をぶちかまし、ついさっきまで協力してたはずなのに、また全員でケンカをはじめる。なんでだよ。そんで、急に「私の…敗けだ。」とか言い出すの、藤岡劇場だなって。
ひとつ言わせてもらうと、昭和オヤジ世代が平成ライダーを目の敵にする理由がもしあるとするなら、「ガジェットに頼るな!身一つで戦え!」ってことだと思うんだけど、それは大っぴらに言っちゃうとね…。
オモチャはしっかり売らなきゃ戦いを続けられないので、昭和パイセンたちも積極的にガイムベルトの付属物になってくれていた。この世に悪があるかぎり、未来永劫ライダーの戦いは続くのだ!(商魂!)


【※ライダーメモ】
ラストで子供を失った夫婦(板尾創路と雛形あきこ)のために大技をみせる。その願い!しかと受け止めたっ!仮面ライダーは、ほんの少しの時間なら死者を蘇生することができる。