たかが世界の終わり

ヴィオレッタのたかが世界の終わりのレビュー・感想・評価

ヴィオレッタ(2011年製作の映画)
4.0

___私は、ママのモノじゃない



我が子のヌード撮影は
徐々に親子の絆を切り裂いてゆく



「頭をもっと後ろに
誘うような眼差しで 悲しげにね
そうよ 悲しげに」



「もっと足を開いてよ
毒のある花みたいで美しい
見せて」



それでも彼女は、娘を撮り続けた



「君のママは先駆者だよ
君はその作品
写真の君は厳かで別人に見える」



被写体とされることに抵抗する娘を
母親は異常と見なし、叱った



しかし、

“美しいものを作品として
フィルムに収めることの何が悪なのか”

彼女はきっと平然とそう語るだろう



性的な美しさも確かに存在するが、
それが間違った方向に消費される危険性が
現社会には確実にある



故に世の大半が
「ポルノ」や「虐待」などの言葉に対し、
嫌悪感を抱き、ヌード作品を批判するのは
ある種当然のことだ



だが大昔から今も尚評価され続ける作品に
衣服を纏わないものが多数存在するのは
多くの人がそれを美として
受け入れている証拠であろう



芸術において
何処からをタブー視すべきなのか、
その辺りの議論は非常に難しく感じるし、
あそこまで人から理性を奪い、盲目的にさせる
“美的感覚”自体の計り知れぬ脅威に身が竦む思いである