たますけ

リスボンに誘われてのたますけのレビュー・感想・評価

リスボンに誘われて(2012年製作の映画)
3.8
偶然手に入れた本のとりこになった高校教師が著者に会うためリスボンへ旅立ち、著者の家族や友人を訪ね回り彼の人生に触れるにつれ、自らの人生を見つめ直していく。

映画の導入部分から畳み込むように見事にストーリーが展開していきます。考える間もなく惹きこまれて自分も主人公と同じ夜行列車に乗っていました。
その後、リスボンでも立ち止まる間もなく本の筆者の謎がどんどんと解かれていく。
見ていてとてもワクワクしました。
台詞が哲学的で心に残る映画。
自分も筆者のアマデウとシンクロしながら見てました。
ただ、台詞が英語じゃなくポルトガル語だったらもっと雰囲気が出たかも。惜しいです。

「人生を十分に生きたとき我々は自分自身へ旅をする たとえ人生がどんなに短くても。しかし、たどり着いた先にあるのは孤独だ。
すべての行為は孤独への恐怖に由来するのだ。だから人生の最後に後悔しそうなことはやらないのだろうか?
結局は自分自身の問題なのか。肯定しうる人生にするために 成し遂げ 経験すべきことを自らに課した人生像のせいなのか?
ならば死への恐怖とは 自分がなろうとした人間になれないことへの恐怖だ。
完全な自分になれないという確信に襲われるとき 残された時間をどう生きればいいか分からなくなる。
人生を導くのは偶然だ。残酷さと思いやりと幻惑的な魅力に溢れている。
人生の重要な分岐点 生き方が永久に変わる瞬間に騒々しい演出があるわけではない。実際には人生に変化をもたらすものはひそやかに忍び寄る。その瞬間は静かに展開し 全く新しい光のもとに人生が照らし出される。それは静かに起こる そのすばらしき静寂にこそ特別な高貴さがある。
我々は自己の一部を残して旅立つ。 そこを離れても同時にとどまるのだ。自己の内には戻った時にだけ見つかる何かがある。
人生を十分に生きたとき 我々は 自分自身へ旅をする。
たとえ人生がどんなに短くても。」
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