ディアッカ

紙の月のディアッカのネタバレレビュー・内容・結末

紙の月(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

女として枯れてしまった一人の主婦のシンデレラストーリー(ただし鐘が鳴った先の話はない
客先で出会った大学生、彼との再会が全ての始まりであるのだが、基本的にストーリーは彼女の目線で展開されるため、そこかしらに彼女にとっての「言い訳」になる要素が散りばめられている。
旦那に軽視されている自分、軽口ばかり叩いて自分をそそのかす同僚、セクハラ上司、そして自分を受け入れてくれた年下の男。
彼女が悪事に手を染めたのは周囲の環境のせいですよと言わんばかりの都合のよい展開に正直なんだそれと思うところもあったが、物語がシメの段階に入ると、それはアバンの募金行為という何気ないシーンが全ての起点である。ということが示され、彼女は周囲によって捻じ曲げられたのではなく元から狂っていたのを押し殺していただけという事が分かるとこれまでの不自然な描写が納得行くようになる。
結局ラストまで不倫相手である大学生のバックボーンは明かされず、旦那やセクハラ上司を含めた周囲の環境の何もかもが精算されず終わってしまうのだが、それは彼女の言うところの「いつか壊れる偽物」なのだから、彼女の目線で進むこの物語にとってはどうでも良いことだったのだからしょうがない。
主人公は実は筋金入りのサイコパスでしたというオチは想定してなかったので、鑑賞後のスッキリ感は中々のもの。
ただしラストシーンだけは個人的にはナシ。あんな美しい終わりは「偽物」と「本物」の境界で揺れるこの話には全く相応しくないと思うので。
ディアッカ

ディアッカ