イチロヲ

LSD プロブレムチャイルド&ワンダードラッグのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
LSDを発見したアルバート・ホフマン博士の生誕100周年シンポジウムを収録している、ドキュメンタリー。LSDが各分野に与えた影響力の解説と100歳を迎えたホフマン博士による回顧録が主なる内容となっている(博士は102歳で逝去)。

一般的に、人間がLSDの類を摂取すると、自身の脳内で意識拡大(サイケデリック体験)が誘発される。存在しないものが視える「幻覚作用」、過去の記憶が掘り起こされる「脳内データの閲覧現象」、時間経過が早く感じられる「時間感覚の消失」など。

重要なのは、このようなサイケデリック体験を源流とするものが、我々の身近のあらゆるところに根付いているということ。芸術家はサイケ体験を基にして創作活動を続けているし、芸術鑑賞者はサイケ体験を提供されることに刺激を求めている。

また、本作ではLSDの使い方についても博士自らが言及しており、「LSDは古代の秘薬と同じ括りのものであり、快楽目的で無責任な使い方をされるのは不本意なことである」と説いている。まさに本作は「学校で使用されない教科書」と言っても過言ではない。
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