星降る夜にあの場所で

マリア・ラーション 永遠の瞬間の星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

4.4
「存在の耐えられない軽さ」でのカメラ繋がりで

スウェーデン三大巨匠の1人、ヤン・トロエルの秀作。
ベルイマン、ヴィーデルベリに比べて日本での認知度が低いのですが、本作と「ハリケーン」を見た限り他の二人より圧倒的に日本人に受け入れられやすい作風ではないかと思います。
1900年の初頭から約20年間、1人の女性の半生を彼女の長女目線で描いています。
酔うと暴れて暴力を振るい平気で浮気をする夫とその真逆である心優しい写真館の主人との狭間で揺れる女心…
なんて書くと軽々しい感じがしてしまうのですが、この主人公非常に我慢強く節度があって気丈な女性であり夫の暴言・暴力に屈しません。
当時の女性は簡単に離婚という言葉を口にしないということもありますが、夫にも長所があるわけで、おそらくその部分が好きで一緒になったのでしょう。
決して裕福ではないそんな毎日に、あることがきっかけとなり突如写真という芸術が彼女の前に現れ心に潤いをもたらしていきます。
構成、演出、音楽、ロケーション・美術、役者の演技…どれも素晴らしくバランスが取れています。
チャップリンの映画を観た後、家族(子供6~8人ぐらいの大家族)みんなでちょび髭を書いてチャップリンの物まねをするシーンが微笑ましかった。
現在日本ではソフト化されていませんが、BS・CS等で見かけましたら要チェックの作品だと思います。
特に女性にお薦めしたい作品(暴力は絶対反対ということを前提にして)。