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ソロモンの偽証 後篇・裁判のikoanのレビュー・感想・評価

3.7
原作未読のまま後編を観ました、かなり面白かったです。
後編、新たな捜査結果や証言を踏まえた展開、中学生日記のような子供達のドラマに、大人や社会の事情を盛り込んだ法廷劇はなかなか面白く観れました。
とは言え、これはあくまで中学生による疑似裁判。だからこそなんだけど、登場人物に中学生の持つ、友達や親や教師や学校や社会、そして自分自身に対する本音を代弁させる事が出来たんだと思います。
劇中、検事の藤野涼子は教師や学校、そして社会を糾弾し、弁護人の神原は自分とそれを取り巻く人間関係に対する本音をぶち撒けます。いつまでもなくならないイジメ、イジメをする人間を責めるだけでなく、それを止める事の出来ない自分や社会に対する苛立ち。宮部はこのとんでもなく突拍子も無い架空の裁判で、極普通の中学生が抱いている思いを、見事に言い切っている様に思えます。中学生の気持ちをこんなに分かってくれる大人はいないんじゃないでしょうか。私も大人ですが、後編の裁判編を観てそんな気持ちにさせられました。宮部みゆき凄い!
そんな物語を映画として最後まで引き込ませて見せた脚本、演出、何よりも役者達が素晴らしかった。中でも藤野涼子を演じる藤野涼子にはかなりやられました。
蒼井優の再来!と言いたい所ですが、蒼井優も、まだまだこれからも活躍するだろうし、今はまだ止めておきます。
何れにせよ藤野涼子のこれからに大いに期待します!
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