垂直落下式サミング

誘拐の掟の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

誘拐の掟(2014年製作の映画)
3.8
元敏腕刑事の私立探偵が凶悪犯に拐われた少女を救うべく、血も涙もない二人組の誘拐魔に毅然として立ち向かう。リーアム・ニーソン主演のサスペンス。
雨に打たれるリーアム・ニーソン。色彩を抑えた画作りの映画世界に、赤や黄などの鮮やかな色が入り込むと、それらはすべて警戒色のようにみえる。
近年はアクション俳優化しているリーアム・ニーソンだが、ただのマッチョおやじではなく演技派として知られる。本作の見どころは犯人との交渉シーン。焦らない、揺るがない、ゆずらない。その表情と語り口は、緊急事態に巻き込まれてこそ目を覚まし真価を発揮する主人公の固い信念を感じさせ、元凄腕刑事が心にかかえる虚無を的確に表現。暗くてシリアスな作風だが、どんな危険な状況においても、冷静沈着で危なげがないというキャラクターのギャップがプラスに働いており、サスペンスアクションとしてもフィルムノワールとしても魅力を倍増している。
一連の70年代アクション風リーアム・ニーソンのなかで、特に雰囲気のいい作品。