Torichock

ライト/オフのTorichockのレビュー・感想・評価

ライト/オフ(2016年製作の映画)
3.5
「Light Out/ ライト/オフ」

幽霊の存在自体を信じてない、出ました!オカルト嫌いの僕にだって、幽霊ホラーはある程度好物。
特に、今回のハイライトである、電気を消したら"何か"が出るっていう設定は、今までありそうでなかった設定なので、かなり楽しみでした。

先に、この映画の気に入らないところを二つだけ言わせてください。

ことホラー映画に関しては、僕の中では明確な重要ポイントがありまして、それは
"説明、分析、解決"
この3つ。
この3つを、"やらない"ことが、いいホラー映画のポイントだと思っています。
要するに、

・出現に対してルールもパターンもない
・分析不能、何なのかわからない
・最後に解決できそうで出来ない

これが一番怖いじゃないですか?
この3つがあると、僕には関係のない物語だって思っちゃうんですよね。
だから、理由もなく巻き込まれて、何なのか結局よくわからないまま、暴力的に終わるからホラーが好きなんです、僕は。

なので本作が向かう方向は、決して僕の好みのホラー映画とは明らかに違うものではありました。

そして、もう一つ。
この映画のゴースト・ダイアナ。

いや〜、あのルックスはないわ。もう散々見尽くしてきた造形の、いかにも幽霊ホラーのテンプレート的なルックス。
リメイク版の「死霊のはらわた」のやつみたいな、肌質とかさ...
あんな中途半端なクリーチャー造形にするのなら、どノーマルの少女のままの方が絶対に良かったです。
むしろ、ライトを消したら現れるテイのゴーストなんだから、一切映さない完全な黒、あるいは影しか見えない存在でも良かったんじゃないでしょうか?
「アタック・ザ・ブロック」のアイツらみたいに。

でも、その他はホントにホラー映画として楽しかったです。
電気を消すという、誰もが行う日常的な行動が、何よりも怖い現象の一つとして表現するのは、「エルム街の悪夢」とか近いのかもしれません。フレディが女好きの変態おじさんのスケベ映画なら、今回は暗闇から友達を束縛する百合映画ですからね。
ダイアナのルックスには苦言を呈しましたが、工場での一番最初の登場シーン。
これに関しては、ホントに照明の使い方一つで、ホラー足り得る画作りが出来ていることに関心しました。仕事柄、そういうのも見えてくるんですが、この明かり表現は活かせそうです。(活かすような現場にはいない!)
そして何より、電気の付け消しというだけというギミック一つで、怖い映画を作り抜こうとする心意気に男気と、ちゃんとした恐怖を感じさせてくれました。
また、恐怖表現だけではなく、ライトのオン/オフを駆使したドタバタ劇もかなりの見物でした。屋内でのバトルはもちろんのこと、僕の大好物のシーンは、ボーイフレンドとのドタバタバトル。
特に、クルマのスマートキーを使って、ヘッドライトを点けたあとのリアクションとか最高に笑えました。

再三にわたり悪いんですけど、ダイアナのルックスにはかなり残念な気持ちになりましたし、ここはかなり大事なんですが、セクシーで可愛いテリーサ・パーマーに、あんながっつりメイクをさせるあたり、監督の美的センスに関しては、僕と相容れないところはたくさんありました。
(彼女はナチュラルなメイクがめちゃくちゃキレイ!「ウォーム・ボディーズ」最高!)

けど、ホラーを愛してやまない僕としては、夏の終わりに見る映画としては申し分のない作品でした。
フリーパスも手に入ったので、これで憂なく「スーサイド・スクワッド」祭りに参加できるぜい。

シネマート新宿の夕方の回は、女子高生グループや女の子のグループがたくさんいる中で見れて、キャーー!キャーー!いったり、ぬいぐるみ越しに見たりしてる子もいたりして、なんか幸せな気持ちになりましたしね。

女の人って、苦手!怖い!無理!とか言いながら、めちゃくちゃホラー映画を楽しんでるし、ホントにホラー好きだよね。
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