お初ジャックリヴェットさん監督。
何故観ようと思ったのか?
いつものミニシアターで「ジャック・リヴェット映画祭」をやっていたからに他ならない。
上映前のコンパクトな好感持てる宣伝で「ジャック・リヴェット映画祭」やりまっせ!と流してくれていたので、とても気になっていたのだ。
こういう出会いがあるから、映画館通いはやめられないんでしょうな。
ほんで本作は日本劇場初公開ということもあり、お客さんの注目度も高いのかリヴェットさん人気なのか、入りは上々って感じ。
ぶっつけ本番スタイルで臨むスタイルは崩さずで赴いたのですが、物語の中盤くらいでやっとどういう物語なのかを理解できたという有様。
リヴェットさんの作風だったり作家性を全く知らない状態だったのも影響しているんだろうけど、中盤までは頭の中が「???」が浮かびっぱなしでした。
そんな物語は、パリを舞台に”月の女王”と”火の女王”が、地上での命(地上に留まることができる)を手に入れることのできる”石”を巡って対決するんだけど、その”石”を持っているのは、なんだか普通のおじさんのようだけど何か訳ありっぽい男。
さあ、女王たちの対決と、石を持つ男との関係はどうなるのか!!って感じのフィルムノワールでもあり、ダークファンタジーでもあり、サスペンスでもある不思議物語。
最初は、全くどういう物語なのか分からず、なんだか主人公っぽい人がいろいろ出てきたなと思っていると、まさかのサスペンス展開になっていくし、女王たちも、髪形を変えて服装を変えてと出てくるので、あれ?これ誰だっけ?ってなるし、意味ありげに出てくる月や、いちいちばっちり決まった構図に、はっ!とさせられるし、おそらくは即興であろう後ろにいるピアニストが弾きだすピアノの旋律、、、なんだか分からんが、かっこいいですね!とご満悦顔になってしまう。
色彩お化けのとんでも美意識、鏡を意識的に使っているであろう空間づくり、光と影をばっちり決める構図、詩的な会話、美しい女王たちの存在感、動きにいちいち説得力と美意識を持たせる感じ、ほんで名残というか物悲しさと美しさを残すラストの余韻、、いやあすごい画作りだなと見惚れてしまった。
この時代のフランス映画って、芸術を美を極めているよう競い合っているように感じるし、そうした作品を観るのが、ようやく至高の幸せであると、なんとなくぼんやりと感じることができるようになった最近でした。