【第64回ベルリン映画祭 芸術貢献賞】
『スプリング・フィーバー』ロウ・イエ監督作品。ベルリン映画祭コンペに出品され芸術貢献賞を受賞、金馬奨やアジア映画大賞で最高賞を受賞するなど国内外で評価の高い作品。
こんなにも重い話だとは…ジャケットの雰囲気とは全く違って資格障がい者の人たちの悲哀をリアルに描いた作品だった。
描きたいのは「見えない人々の見えない愛」ということだと思う。見えないからこそ目には見えない愛というのが重くのしかかってくる。その激しさには思わず引いてしまうほどだ。
群像劇と言って良く、一応の主役は小馬であるが、院長など様々な人物に焦点が当たる。ロウ・イエ監督の淡々としつつも激しいリアリズム描写が素晴らしい。
ロウ・イエ監督は社会から弾き出されたアウトサイダーを描くのが非常に上手い。『ふたりの人魚』では性欲、『スプリング・フィーバー』では同性愛というセンシティブなテーマを扱いつつ、そのリアルに迫っていく。その手腕が見事だ。
あまりにも重い資格障がい者の人たちの愛、見えないからこそのめり込んでしまう愛の行方を追っている。小馬のたどり着いた先は幸せなのか、思わず考えてしまう。ロウ・イエ監督らしいリアリズムで描かれた愛の物語。期待通り素晴らしい作品だった。