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眠れぬ夜の仕事図鑑のSariのレビュー・感想・評価

眠れぬ夜の仕事図鑑(2011年製作の映画)
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ドキュメンタリー作家ニコラウス・ゲイハルター監督作品。

主題はヨーロッパの日没後の人々。その多様性には、夜間の放射性廃棄物移送を足止めする反原発デモ、ローマ法王のミサ、ロマのキャンプなどジャーナリステックな場所にたたずむ人がいて、一方、新生児病棟、放送局、警備会社、老人ホームなど、映像モニターと人間が互いに見守り/見守られている切なげな夜もある。そして、自殺防止ホットラインや売春宿など人間の孤独に向き合う仕事も逃さない。圧巻は、食べ呑み躍るエネルギーが炸裂するオクトーバーフェスト(ビール祭り)と閃光瞬くレイヴ・イベント。

近未来を透視するような静かで的確に注がれるその独特の眼差しは、知らず知らずのうちに対象の深部へと見る者を誘う、この時代を鋭く射る傑作。
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