ドゥニ監督×ジェイクギレンホールのプリズナーズと同じ組み合わせで同時期に撮られた今作
プリズナーズの印象と邦題によって完全に期待値と内容がズレた
またしても邦題のミスリード問題
原題の「enemy」もわかりやすい訳ではないが
このタイトルの意味を考えながら見たほうが作品の本質を掴める
これは男から父に変容することができない幼稚な男性性のもたらす喜劇だ
以下、じゃっかんのネタバレあり
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妻の妊娠中の期間は男性にとってもトランジション期
今まで自由に生きてきた自分の人生の優先順位を変えて
違った人生を生きていかなければならないという恐れ
自分も確かに感じていたなぁと思い出した
幸いにして自分の場合は子供が生まれたらそれはそれで素晴らしいと思える人生になったが
自分が選ばなかった「自由性を謳歌する人生」に憧れる気持ちもあることは認めざるを得ない
ただ別の人格を作ってまで必死にそれにしがみつこうとするアダムを見て
思わず「ふがいない僕は空を見た」の最後のセリフ「やっかいものくっつけて生まれてきたなぁ」を思い出してだんだんおかしくなってきた
ジェイクの演技が素晴らしく、熱演すればするほど滑稽に思えてくるのが面白い
男性はそれ以上に大事だと思えるものを人生で見つけられるかどうかが大きいのかもしれない
そうだとしたらそれが見つかっている自分の人生は幸せなのかもしれない
と、この映画を見ても気持ちが振り回されなかった自分の幸せを実感することができましたとさ