尿道流れ者

闇のあとの光の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

闇のあとの光(2012年製作の映画)
1.5
ある幸せな家族に訪れた赤いやつによる家族の変化を良い感じの映像美とマジックリアリズム的手法で描きだす!なんて言われたらふらっと観に行ってしまう自分の浅はかさ。中上健次やガルシア・マルケス的なものを期待していたからがっかり。砂漠のような渇きと湿地のような湿度が共存する雰囲気は少し通ずるものがあったかもしれないが。

良いところは子どもがそこそこかわいいこと、男の子が寝起きにオムツを脱いで放り投げるところはとてもワイルドで面白い。自然の描写は不安な気持ちを誘う映像でとても良い。いわゆる都会人のユートピア幻想は無く、自然の持つ不穏な空気や畏怖があり独特。サウナでの乱交シーンもアンダーグラウンド感が不健康な興奮を誘う。あと、謎の赤いやつは悪魔的な風貌をしているのだが、性器がしっかりついてて軽く笑える。

良いシーンはあるが、全体的に芸術志向が鼻につく。映像美もたしかにカットは綺麗なところもあるがゾクっとくるものは一つも感じられなかった。手ブレがあるカメラや主人公視点の映像、人物の周りをぼけさせ、人物がぶれる撮り方もださい。セリフもださい。バラバラの時間軸もなんか突き抜けたものがなく、話に引き込まれるような展開の驚きを感じなかった。テンポも悪く、ノレる部分がないし・・・

赤いやつが禍をもたらすのか、それとも奇跡をもたらすのかというあおりがあったが、赤いやつの影響も特にみられず、観ながら頑張って一つ一つを赤いやつに関連付けようとするが関連はえられない。もし、赤いやつの影響が父親が強盗に撃たれるという部分に出てるとしても、メキシコみたいな治安の悪いところならそれぐらい日常的に起きる悲劇じゃないの?撃たれたあと治療されたのに、なんで死んでんの?死ぬぐらい悪いなら家に帰らずに、病院で治療してもらえよ。生きるために全力を尽くさずに家族が大切なんて感じだされても、矛盾で一つも感動しない。死んだ部分への説明が全く無くて、ついていけなかった。

突然の悲劇や変化やらで人の絆の近づく部分と離れる部分が顕在化させたり、人の生命力をうたう感じだが映画自体の魅力に欠けすぎてメッセージなんて一切ガツンとこないし、映画の意味を理解しようとも思えない。あと犬は絶対いじめちゃだめっ!