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サケボムのRのネタバレレビュー・内容・結末

サケボム(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2013年の日本の作品。

監督は長編デビューのサキノジュンヤ。

あらすじ

創業300年の老舗酒蔵で働く青年ナオト(濱田岳「七人の秘書 THE MOVIE」)は自分を振ってアメリカへ帰ってしまった元恋人のオリビア(ジェン・リウ)に会いにいくため、単身アメリカへと渡る。そこでひょんなことから日系アメリカ人の従兄弟セバスチャン(ユージン・キム)と一緒に旅に出ることになる。

U-NEXTにて、2度目。

めちゃくちゃ昔に観ていて、これまで配信だとなかったはずなんだけど、流石のU-NEXTで配信されたので久しぶりに鑑賞。

監督も一応日本人っぽいし、日本映画ではあるんだけど、舞台もアメリカだし、作りもなんか全編にすげぇミニシアター系の小品っぽい雰囲気があったり、ただ冒頭の酒蔵のシーンだけすごく「和」で、なんか変わった感慨を受ける作り。

その中で、所謂「ロードムービーもの」で、まぁ濱田岳演じるナオトと日系の従兄弟のセバスチャンが色々ありながらも旅行するってただそれだけの話。

またこのセバスチャンってのがとんだクソ野郎で、YouTubeで「おしゃべりアジア野郎」というアカウントでアジア人差別のあれこれを勢いよく喋るところからもわかる通り、あることないことでまかせ言いまくり、口八丁手八丁で相手を煙にまく、まさにおしゃべりクソ野郎!しかも、愛想を尽かして出ていった彼女を未練がましく追いかけたり、偉そうな態度や口調ながらそのくせニートというクズでもある。

ただ、アメリカ初体験のナオトを何気にフォローしたりと意外と世話好きなところも垣間見えて、完全にイヤなやつってわけでもないところがまた魅力的。

そんな問題児セバスチャンと成り行きで旅をすることになるんだけど、セバスチャンが主にヘイトをかぶるからか、とうの濱田岳演じるナオトはなんというか元々の濱田岳の童顔と相まって非常にキュートでなんか背も低いし、小学生みたい。

劇中バーでセバスチャンが唆してナオトが派手な女をナンパ絡みしちゃって、彼氏にキレられてしまうくだりでも兄弟設定のウソがなんか説得力があるくらいw

そんな2人、道中でセバスチャンの彼女の家に乗り込んで、タイトルにもある「サケボム!サケボム!サケサケボム!」の合図でサケボムを飲み合いっこしてナオトが泥酔したり、コスプレパーティーでマニアックコスの女の子とナオトがキスしたり、小説家のジョスリン(マーレイン・バーンズ)という女の子とひと時のバカンスを楽しんだりと特に大きな出来事は起こらないんだけど、友だちの小旅行を追体験しているみたいでなんかほっこりする。

ただ、唯一ちょっと大きな出来事として起こるのが後半の警察官に職質されるシーン。とっさの判断で日系のバックボーンを隠してカタコトの日本語で対応するセバスチャンに明らかに小馬鹿にしたおどけで対応する警察官に、あぁ〜多少脚色されてはいるんだろうけど、アメリカ人にとって日本人ってこういうステレオな印象を受ける人って全然まだいるんだろうなぁ…っ複雑な気持ちになった。

まぁ、それを隠し撮りしていたナオトによって登録者数めっちゃ少ないセバスチャンの動画もバズったり、ナオトの意中の相手オリビアとの対面での「決着」もついたし、なんだかんだ初めはギクシャクしていた2人も仲良くなる感じで終わるんだけど、もっと2人の関係性が和解する出来事や会話があれば良かったんだけど、そこら辺もなんかぬるっと流されちゃった印象。

まぁ、ただ「サケボム」の日本酒とビールのように本来なら相容れない2人の旅路は意外と豊かな旅になったようで離れ離れになった後、それぞれの帰路で満足そうな顔をしている2人を見れただけでなんかいい映画観たなーってなっちゃう不思議な作品でした。

あとあの合図で俺も「サケボム」飲みてーって月並みだけど思った笑。
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