【負け犬の応援歌】
2001年4月11日。
アメリカ領サモアのサッカーチームは
世界中の新聞の見出しをこう飾った。
「地球上で最も最悪のサッカーチーム。
オーストラリアに世界記録31-0で敗北」
31-0。
その屈辱的な記録はFIFA世界ランキング最下位と共に彼らの心を押しつぶした。
同じ年2001年5月25日。
視覚障害者であるエリック・ヴァイエンマイヤーは初めて世界最高峰であるエベレスト登頂を達成する。
インタビュアーは質問した。
それにしてもよく登ることが出来ましたね...目が不自由なのにどうやって登ったんですか?
その男は笑って答えた。
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人はなぜ壁に挑み続けるのだろう?
苦難でしかないその道をなぜ進もうとするのだろう?
その小さな国はこれまで様々な障害や苦難の連続だった。
津波、若者の土地離れ。ジェンダー。そんなアマチュアを中心にしたチームが何度も泣いて何度も倒れて何度も起き上がる。
そして何度も負け犬だと罵られた。
三流ボクサーのロッキー?
「百円の恋」の一子?
負け犬と罵られたその選手たちは1勝の重みを噛み締めながら前に進む。
ひたすら目頭が熱くなりがむしゃらに応援したくなるその姿はひたすら眩しい。
これはそんな障害と闘う君の応援歌。
さてエレベスト登頂に成功した男の話に戻そう。
その男は笑ってこう答えた。
「私はただ一歩ずつ進んだだけさ」
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