持て余す

ミラクル・ニール!の持て余すのレビュー・感想・評価

ミラクル・ニール!(2015年製作の映画)
3.6
ブリティッシュなSFコメディ映画。

サイモン・ペッグってなんかこう……ちょうどいい。コメディだからといってわざとらしくしないし、大袈裟にやったりもしない。ギリギリ現実感を残しながらもきっちりコメディを成立させるし、『ミッション・インポッシブル』のような作品で脇を固める際にもしっかり存在感がある。なにしろちょうどいい。

あくまで個人的な好みなのだけど、大袈裟に演じたり、顔で笑いをとったりするタイプの(欧米に多い)コメディって、心にかなりの余裕がないと見ていられない。ローワン・アトキンソンの諸作やジム・キャリーの強めのコメディ映画も苦手。

より広く(日本の映画と違って基本的にワールドワイドだろうし)に見てもらうべく、言葉が判らなくても通じる笑いということも意識されているのかもしれないけれど、悪い意味で「解りやすい笑い」に感じる。日本人は表情がなくてなにを考えているのか判らない的なことをよく聞く(本当かどうかは知らない)けれど、逆にああした役者を「くどい」と感じる。

その点でもサイモン・ペッグはちょうどいい。『ミラクル・ニール』全体で言えば、少々雑な作りのコメディ映画だけど、主演の力でかなり点数が上がった感じがある。

宇宙を管理する知的生命体とか、万能の力とか、行き違いからくるドタバタ劇とか、展開のための少々雑な展開が多いけれど、困った顔が当代随一ハマるサイモン・ペッグと、この物語の中心にいる犬のデニスがすべてを成立させていく。

犬のデニス! ロビン・ウィリアムズが声を演じる犬はこの物語を支配している。笑いの成分としても、全体のオチについてもあのモフモフとした犬なくしては語れないと思うし、賢くなっても結局ビスケットというところも愛らしい。

ただ、この手の『ドラえもん』的物語に関していつも感じるのだけど、能力(道具)の使い方がヘタでヤキモキしてしまう。

『ドラえもん』以外にも日本の漫画やアニメが30年以上前から繰り返しやってきたことだし、少し古く感じてしまう。この手の物語を緻密てダークに料理した、あの『デスノート』でさえ15年以上も前の作品で、この映画が公開された当時(5年前)でも、もっと捻りが欲しいと感じてしまいました。
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