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サン・オブ・ゴッドのykzrのネタバレレビュー・内容・結末

サン・オブ・ゴッド(2014年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

※宗教について言及
※あくまで映画作品の個人の感想
※思想や宗教を否定するつもりはないです






クリスマス前なので改めてイエスを描いた作品を見ようと思い鑑賞。新約聖書(福音書)ダイジェストという印象の強い作品だった。後半、ほぼドロローサで終わる。
話の展開として、幼少期はほぼなく、イエスとペテロが出会い、一つ目の奇跡を起こした後さくさくと進んでいく。イエスの奇跡の有名所を掻い摘んで紹介していくような内容のため、いつのまにか12使徒がおり、新約聖書やキリスト教、イエスについて大まかな流れを知っていないと、混乱するかもしれないと思った。
美術が凝っており、時代背景とあいまって大河的な映画としても見ることができた。私のこうあってほしいと思っていたユダの姿だっただけで、この作品を見て良かった。思っているより、ユダの行動がイエスを思っているがゆえだと感じられる内容だったため、好感が持てた。常識的でイエスのことを「友人」として見ているイスカリオテのユダは本当の理解者だった、という説が色濃いような描写だった。
自分自身がユダヤ教・キリスト教ではないため、宗教学的な視点でこの物語を見ていたが、三つ巴のような印象を受けた。つまり、決してイエス以外は悪、と言えないのである。司祭がローマ帝国支配下においてユダヤの民が騒ぎを起こしこれ以上ローマ帝国に惨殺されることを回避さるため(それが建前であり、信仰者を増やしていくイエスに対する危機感からの判断だとしても)、法に背くとされるイエスを規則を破り裁判にかけたこと。妻の助言もあったが自身の目で確かめイエスを罪なき者と判断したが、立場に板挟みになった末、「ローマ帝国」と「個人」によるイエスの死刑の決定責任を回避したこと。誰かの声やイエスの奇跡によって彼を救世主として受け入れた民衆が、誰かの声によって彼を死へと追いやったこと。それにより磔刑にかけられたイエスの「父よ、彼ら(ローマ兵)をお赦しください。していることがわからないのです。」が、この結末へと導いた全ての人々へと向けられているように感じた。
ただ、最後20分。イエスの死後や復活、ペンテコステのシーンなどから一気にふわっとする。今までの奇跡のシーンで薄々感じていた違和感が、私の場合は爆発した。仕方がないこととは言え、スピリチュアル色が濃くなる。誰もが常識的に考えていたユダを思い出すのではないだろか。もちろん、信心深く動き始める弟子たちとイエスの間柄は愛と信頼に溢れているが、客観的に見ていてその盲目さが怖いと思った。
エンドロールでは、端折られたイエスの奇跡が流れる。繋ぎとしてないのは変だな?と思う人物や描写が、エンドロールだけ出てきたりするので、しっかり見たほうがいいと思う。
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