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JUNK HEADのykzrのネタバレレビュー・内容・結末

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

まず、ストップモーションアニメとして、クオリティはかなり高い。動きも滑らかで、表現として失礼かもしれないが、CGアニメーションと遜色ないと思った。
次に、ストーリーだがこの作品だけでは完結しない。見た直後の感想なので主観で語るが、物語の謎の殆どが解き明かされずに終わる。残り20分程で不安になる程話が進んでおらず、この感想を書く前に調べたところ、どうやら3部構成で今後も作品は続くようだ。良かった笑
3部構成と聞き、作品を捉えると序としてはかなりまとまりがいいと思う。視聴者がそもそもの世界観の設定をぼんやりと理解してきたところで、主人公が自分自身の記憶を取り戻しわたしたちにも同じ分の知識が補完される具合だ。あくまで人間視点で進んでいくため、主人公と共に未知の地下世界を楽しむことができる。
疑問点として挙げるなら、時間の流れと死の概念が非常に気になった。というのも、主人公が道に迷う際、明らかに異なった文化を持つ人が登場する。この人々が、どうやら異なった時間の流れ(距離?)で生きているように感じた。また、種族?によって生きる流れや概念が異なっており、死への考え方も違うのかもしれない。その判断基準として、「目があるかないか」なのかな、とぼんやり感じたが、生きている階層の深さなども関係しているかもしれない。(深海魚や地下生物的なもの)そして、どうやら人間には死がない。これは肉体を捨て、機械化することで永遠性を得ているようにも思える。
地獄の3ハンターが「天国はあるのか?」と問うくだりがあったが、見えないものを信じたり、何かを守るために勝手に体が動くという優しさと勇気がとても良かった。
今後の展開としては、木の実から生物が生まれるという部分と、神様(人間)の立ち位置が気になる。今回、主人公は神様(人間)らしく知恵をつかって他人に手を差し伸べたが、それが引き金で事故などが起こってしまう。また、あまりにも人間的な主人公の優しさが母体樹(生物が生まれる木)に適正のある少女(だと認識しているが違うかも?)との間に絆を生み出している。これらにプロメテウス神話やハイヌウェレ型神話(生物同士の共食いも込みで)を思い出した。今後、地下世界vs地上世界になっていくのか、地下世界のみで狩る側vs狩られる側となっていくのかが楽しみだ。
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