しりたん

ディクテーター 身元不明でニューヨークのしりたんのレビュー・感想・評価

5.0
原題:THE DICTATOR


北アフリカの架空の国、ナディヤ共和国で独裁者として君臨するアラジーン将軍。
国連サミットに出席する為にアメリカに行くが何者かの陰謀により、ホテルで拉致され、大事なヒゲを取られ、燃やされ、誰もアラジーン将軍とは分からない状態になってしまう。
独裁者なので日々命を狙われるアラジーン将軍。本物の将軍が行方不明になっている間、将軍の替え玉が吹き込まれた会話を公の場で発言してしまう。
その発言は、ナディヤ共和国も民主主義になる事の発言だった。
独裁国家を愛している本物のアラジーン将軍としては、国を民主主義にするサインの日に何としてもホテルに潜り込み、サインを阻止しなくてはいけないのであった。

『ボラット』『ブルーノ』と脚本、出演しているサシャ・バロン・コーエン最新作。
本編始まりから「親愛なるキム・ジョンイルに捧ぐ」の文字とデカデカとアノ人の写真が登場。スタートからぶっ飛んでいるw
『ボラット』『ブルーノ』はドキュメンタリータッチに作られているが、今作は物語を追う形で作られている。

キャストが闇鍋状態で、『ヒューゴの不思議な発明』でパパ・ジョルジュを演じたベン・キングズレーがアラジーン将軍の相談役として登場。
アラジーンと恋に落ちるゾーイ役は『最終絶叫計画』『MAY-メイ-』『キューティ・バニー』では主演だったアンナ・ファリス。
アラジーン将軍を誘拐した人物役では『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』のジョン・C・ライリー。
そのまま本人役で登場するのは『ファイト・クラブ』が有名でしょうか?エドワード・ノートンも見かけることができる。
しかし性処理を“させられた”後の様な流れで、うつむき状態で無言で終わる。
エドワード・ノートンは本編で名前が出てましたが、冒頭辺りに娼婦として登場する女性は『トランスフォーマー』(2作目まで)のヒロインでおなじみのミーガン・フォックス。
名前は挙げられていないけれど、インスタントカメラで撮った
写真コレクションに悲しげにうつむいたアーノルド・シュワルツェネッガーとのツーショット写真(思いっきり合成)も見れる。

本編のネタは社会のタブー、人種差別、全編にからんで来るシモネタ、同性愛ネタ、その他色々ブラックユーモアです。
ホテルの進入経路探りの為にヘリコプターツアーに参加することになるが、ナディヤ共和国で核ミサイル製造を任されていたナダルが「目立つ様な行動は控えろ」と忠告するが、将軍はデカデカとアメリカ国旗がプリントアウトされているジャージの上下。
さらに胸には警察のバッジを付けている。
○○人のマネだと片言で話し出したり暴走しまくり。
ヘリコプター乗ってからは同乗しているアメリカ人の中年夫婦に怪しまれない様に無駄に変なアピールをしだす。
さらにナディヤ共和国の母国語(?)で会話をしだすが自分がアラジーンだと言うことをベラベラ話してしまったり、
愛車は何か?の答えに車ではないが、9.11事件の飛行機が
どうのこうのと・・・。これが愛車の代わりになっているご様子。
ぶつけてしまったので現在新型の9.11の飛行機を注文しているとかなんとか。
こんな会話に同乗の夫婦とは微妙な雰囲気に。

腰痛の話になり、今でもコルセットを付けているとなり、
コルセットを見せるのは良いが胸にダイナマイトが装着できる様になったコルセットとは呼べない代物。
ちゃっかりダイナマイトも入っていて、ダイナマイト1本ずつに紐がくっ付いているw
「ちゃんと英語でカウントダウンできる!」と言い出し、カウントダウンを始める将軍とナダル。
同乗していた人は悲鳴をあげ、将軍とナダルは留置所へw
このブラックユーモアについてこれる人は少ないかもしれない。
しかし、これがおもしろい。
自宅などの周囲を気にしないで笑っていられるスペースでひっそりみるのが良いかもしれない。
しりたん

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