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『南部軍 愛と幻想のパルチザン』に投稿された感想・評価

3.8
この映画は韓国映画史に欠かせない作品・・のようです。
1990年の公開作品でチョン・ジヨン製作監督。
原作はイ・テさんの手記。
ご自身の過去が映画化されています。

・・これね、観ることは相当難しいと思うのである程度内容を記しますね。

イ・テさんを演じたのはアン・ソンギ大先生です。
イ・テさんは朝鮮戦争当時朝鮮人民軍支配下の全州(チョンジュ)で記者をしていた方。
*全州はソウルの200kmくらい南にある。大田(テジョン)の南で光州(クワンジュ)の北。

そして米韓連合軍の攻撃の中、彼は人民軍に出向き、パルチザンとなって戦うのです。そして南部軍に所属し、釜山方面に進んだところにある標高2000m近くの智異山(チリ山)に行き本格的なゲリラ活動をします。その後逮捕。

・・・その後大韓民国となり、軍事クーデタ政権が起き、韓国は反共の道へ進みイデオロギー対立が促進されます。そしてその一方的なアレルギーのような見方が果たして正しいのか??という議論が《ようやく》出来るようになりました。
そして手記を元に、かつてのゲリラを人間的な視点で見直そうというコンセプトでこの映画も作られたそうです。

雪山なんで、撮影には1年かかったそうです。


イム・チャンジョンさんのデビュー作だそうで・・そこからのつながりで、苦労して観たこの映画を思い出しました。



〈438〉
朝鮮戦争における山岳パルチザンの悲劇的末路を描いたもの。類似の映画はまったくないと思われる。

戦争映画として傑出している。

この監督は「南宮洞1984」からもわかるとおり、歴史と事実に対してできるだけ誠実かつ忠実であろうという姿勢を強く持っている。そのため、パルチザン=善、米軍に支援された国軍=悪という図式(ステレオタイプ)に陥っていない。パルチザンの否定的側面も併せて描いているし、国軍兵士との前線での歌合戦や戦場でのほのかな恋や牧歌的な日々を描くなど戦争=悲惨という図式にもに陥っていない。

残念なのは、日本帝国主義から解放されたあとの朝鮮の歴史について無知な人には、山岳パルチザン=朝鮮労働党(金日成)という誤解を与えてしまいそうな点だ。

ロシア革命や中国革命のなりゆきを見てもわかるように、それらの革命は単一の政党が行ったわけではない。アナキストから社会民主主義者、サンディカリストまでを含む広範な人民と勢力・組織が行った。ボリシェビキや中国共産党は、革命後に権力を掌握したというだけで、革命の主体は労働者・兵士・農民であった。

革命後、それらの勢力は根こそぎ粛清された。

朝鮮でも同じことが起きた。南朝鮮労働党は金日成の労働党とはもともと無関係。朝鮮戦争を契機に合同したが、その後も独自性を保持した。そのことはこの映画でも描かれているが、描きわけが弱い。最初に数分でいいから、南朝鮮労働党の活動やそれに対する弾圧、金日成の労働党との連合のいきさつが描かれていたならと思う。

通信社に勤務していたキム・テの手記(実話)を元に作られたらしい。そのため、実際の戦闘、飢えや疫病との戦い、山岳高地での行軍などすべての細部に強いリアリティがある。

南部軍は、八路軍のようには規律が確立していなかったようで、農民から略奪して行軍する姿も描かれる。一方、農婦をレイプした古参兵を銃殺刑(自殺のかたちをとる)に処する規範の高さには「解放軍」の面目がある。

そもそも朝鮮戦争は他の植民地解放戦争と同じで、共産主義者とファシストの戦争であり、ファシストを支援したのがアメリカだった。したがって韓国の政権はアメリカの傀儡であり、その性格の如何にかかわらず、解体・打倒され南北朝鮮は平和的に自主統一されるべきなのだ。

つまり、歴史の針をこの映画の始まる前、米軍上陸の前に戻すことが必要だ。

朝鮮半島の正当かつ正統な政権は朝鮮労働党政権であることは明白であり、現労働党政権が人権無視の独裁政権であることとは何の関係もない。

南部軍=山岳パルチザンは結局、使い捨てにされ中国やロシアと同じようにほとんどの人々が粛清される。映画ではそこまでは描かれず、停戦直前で終わるが、その後の悲劇にも言及があればこの傑作の価値と風格は一段と増したにちがいない。