垂直落下式サミング

神は死んだのかの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

神は死んだのか(2014年製作の映画)
2.5
教壇で「神は死んだ」とまで言い、その考えを強制しようとする無神論者の哲学教授に対して、一人の学生が神の存在を証明しようと奮闘するおはなし。
歌詞が聖句になっているロックミュージックにガン上がり、哲学的かつ論理的な議論が展開するインテリジェンスな映画を期待したのに、結局は福音派原理主義的な主張をゴリゴリ押し出してくること終止していくので、安易なヒューマンドラマ的な結末をみせるに過ぎない。
それにしても、教授も生徒くんも相手に自分が信じるものを押し付けようとするスタンスなので、みていて気分がいいものじゃない。物事を論じあうときは、ここで何かをお互いに得るものがあると思って話さないと意味がないでしょう。議論によって相手を打ち負かすって、まったくもって無意味だと思うんだけどな。相手に敗けを認めさせてなんになるの?その場の優越性を手にすることはできるかもしれないけど、勝利=自分の正しさの証明かといったら違うだろ。特に、神なんて無形の存在についてなら尚更だ。
「キリスト教」にしろ「実存主義」にしろ、信仰が目的化してる人とはなすのは疲れる。楽しく生きるために、人は何かを信じるんでしょう。こういう熱血宗教観をみせられると、若干冷めてしまう。
じゃあ、私は無神論者なのかといったら、そうでもないわけで、仏教も神道もキリスト教もイスラム教も、全部同じくらい信じているつもりだ。そもそも、人はどんな神様だろうが、すべてを無条件で信じるべきなんですよ。
宗教というのは、生きている人間の重荷を肩代わりしてもらうためのものなので、それを利用しないのは損だ。都合の悪いことは、適度に神様のせいにしながら生きてます。その方が楽。結局のところ人は何かを拝まずにはいられない生き物だし、誰もが無意識のうちに神を感じている。だから、受け入れがたい現実に直面した時や、茫然自失になった時に、口から「My God」という言葉が零れ落ちるんでしょう。
神様はきっといい人だから、5円玉を賽銭箱に投げたら、きっと5000円分くらいにして返してくれるだろう。僕には、このくらい図々しい信仰心でちょうどいい。信仰心は経済で割り切ろう!ブッダもアッラーも愛してる。私に金銭的な充足を与えてくれる神様が、マイフェイバリット神様だ。