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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のKHのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

孤高の天才の偉業、生涯を見事に大衆作品へと昇華し描き切っている。

最後のすべてを灰にするシーンでどこかスッキリとした表情をしている仲間たちの中で浮かない表情のアラン、そしてテロップで淡々と流れる彼の人生の終着。このシーンを見て途轍もないカタルシスに襲われ、独り言で無意識に口を出てきた言葉が「カッコいい。。」

本当に人間として最高にカッコいい生きざまを見せられました。第二次世界大戦中ドイツ軍の解読不可能といわれた暗号エニグマを解読するために奮闘したあるクロスワード好きの6人の話。159×10の18乗ものパターンを解読するために最初は自分以外の人間を無能と考え一人ですべてを行おうとするが、追加要員として試験を実施しその中で自分以上に切れ者のクラークとの出会いがただのクロスワード好き6人をチームへと成長させていく。この後も戦時中という特殊化の状況ゆえの事情(2重スパイ)など絡み解読したは良いが、ドイツ軍に気づかれないために時には人の命をも天秤にかけるような判断もしなければならない事態に陥る。しかしこの多大な業績はアランの死後50年も誰にも知られることはなくおよそ1400万人もの命を救ったであろうと後に言われている。

達成した偉業の偉大さに比例し、その後の人生は悲惨なものだった、同性愛者であることを告発され彼はわいせつ罪で逮捕される、投獄か強制ホルモン投与を迫られ彼はホルモン投与を迷わず選ぶ。彼は唯一の理解者であるクリストファーと離れることはあり得ない、その2年に不審死を遂げる。

鑑賞後アラン・チューリングについてwikiで調べたところ、アランの死の原因が青酸カリを塗ったリンゴだったということを知り、劇中チームへの第一歩として差し入れリンゴを持って行ったのも伏線だったのかもと思うほどの完成度でした。

そしてアランが数学を研究し続けた理由が死んだあとクリストファーと数学の話をするためっていうのが一番心に響きました。
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