さあこ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のさあこのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

「イノヴェイティヴであることが世間に秘されマイノリティであることが罪として裁かれた時代。」(映画『イミテーション・ゲーム』公開記念 特別企画より)

まさにこの通りの映画であったように思う。どんな人物でどんな偉業を達成してどんな影響を与えたとしても、マイノリティという烙印だけで全てがないがしろにされる。
同性愛者ということを抜きに考えてもアラン・チューリングには生きにくい世界であったことは間違いないし(もちろん本人にだって問題がある)、恐らく世の天才と称される人たちは少なからず経験したのだろう。理解出来ないものはいつの時代も恐怖にしかなり得ず、排除の対象でしかない。

わたしはこの映画を見るまで、同性愛者が罪人とされて処罰されていたことを知らなかった。
私自身同性愛者に何の偏見もないつもりだが、正直同性婚が認められたというニュースを見て報道することの程なのかと思っていたほどの無知っぷりである。恥ずかしいことにその程度の関心しかなかった。

人を好きになれるだけで、それは一つの才能だし、素晴らしいことだと思うんだけどなあ、と幼稚園児レベルの感想。

時系列の入れ替わりに謎解き系かと思い、チューリングとジェーンの関係に真実の愛的な話かと思い、人との関係が築けないチューリングと仲間たちの友情成長物語かと思い、スパイの裏切りどんでん返しかと思い・・結局何だったのかと。
事実を基にしているのでドラマティックな展開を期待するのはお門違いなのは分かっているが、全くの無知承知で、でもやっぱりある程度の脚色はあるだろうと思うシーンはあったし、どっちつかずの印象が残る。

同性愛者といえばチョコレートドーナツ、天才の苦悩といえばビューティフルマインドを思い出す(後者は完全にわたしの好みである)。そのどちらよりも薄べったい気がしてしまうんだよなあ・・評価がとてもいいので私の感性が乏しいんだろうけれど。

「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも素晴らしい」
このセリフを言うキーラが一番良かったなあ。