MasaichiYaguchi

ビッグ・アイズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ビッグ・アイズ(2014年製作の映画)
3.5
ティム・バートン監督の本作で描かれるのは、60年代のアメリカで一世を風靡した絵画シリーズのゴースト・ペインターの実話。
本作品では、大きな目をした人物画を描く口下手で内気なマーガレットと、口八丁で宣伝と販売に才能を発揮するウォルターという夫婦が登場する。
当時のアメリカでは女流画家は評価されず、その上引っ込み思案のマーガレットでは作品は売れず、絵の才能はともかくとして、高いセールス能力を持つウォルターがいたからこそ、「ビッグアイズ」シリーズは一大ブームを巻き起こせたのだと思う。
持ちつ持たれつの夫婦は、ある一線さえ越えなければベストパートナーだった筈だ。
その罪は夫が嘘をつき、強制的に妻をゴースト・ペインターにしてしまったこと。
このマーガレットとウォルターという危う夫婦を、エイミー・アダムスとクリストフ・ヴァルツという演技派の2人が演じていて、最後までスリリングなドラマを繰り広げる。
「共犯関係」を10年も続けた彼らだったが、あることを切っ掛けに袂を分かつ。
近年のティム・バートン監督の作品のタッチに馴れ親しんだ人からすると、本作は異質かもしれない。
映画に登場する独特の色使いや、ゴースト・ペインターという社会の日陰者を取り上げたところに私はティム・バートン監督らしさを感じる。
その日陰者であったマーガレットが、本当の自分を取り戻す為にした勇気ある行動には思わず喝采したくなります。