岩嵜修平

怪しい彼女の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

怪しい彼女(2014年製作の映画)
3.6
『イカゲーム』ファン・ドンヒョク監督による異色ラブコメ。中国映画『こんにちは、私のお母さん』やBTTFなどの良くある、タイムスリップして親と会ったらどうするかものの逆で、親視点の時間移動SF。その導入も終了も変な説得力があり、なるほど世界でリメイクされる強度がある。

コメディ要素のドギツさや、あまりにご都合主義な展開がノイズにはなりつつも、単なるコメディで終わらせない監督の意識は、開始10分ほどの、年齢による女性に対する社会の受容の変化を、ボールに例えるシークエンスからも見てとれる。今、観るとステレオタイプにも思えるが、2014年なら早かったかも。

ラストの交差しない視線と、反対に交差する視線が作品の肝な気もするが、ハッピーエンドにせざるを得なかったのは、ラブコメとしての商業的な要請か。ありえない設定によって、そのありえなさと現実の残酷さを並べて、現実の問題を浮き彫りにするスタイル(とコメディ性)は、イカゲームにも通じる。
岩嵜修平

岩嵜修平