PhilMarks

アウェイデイズのPhilMarksのネタバレレビュー・内容・結末

アウェイデイズ(2009年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

記録が遅れたので取り急ぎ。
勝手に予想したのは自分なのだが、ティーザーやパンフレットからQuadropheniaやTrainspottingと似た作品なのではないかと思っていた。勿論似ているところもあったが、良い意味で期待を裏切られた。
似ていると思ったのは主人公たちの境遇。イギリスの階級社会の中で日の目を見ない若者たちに生まれる文化は時代が異なれど原因は似ているように感じられた。暴力やドラッグは勿論褒められたものではないが、街を出るという夢物語が実現しない限りは一生その境遇から抜け出せない者の行いをこの日本でのうのうと生きている僕が偉そうに批判するのは浅い。ただ、前述した作品に比べるとこの作品ではある種暗黙のルールの下の格闘技のようなフーリガンの争いか、妹の復讐でしか暴力のシーンがなかったので、それほど不快感は覚えなかった。
また、他のパックのメンバーはその境遇からフットボールカジュアルという文化をアイデンティティにしているように見えるが、カーティは彼らよりも比較的恵まれている境遇にいるため、フットボールカジュアルを憧れる文化としているように見えた。これは個人的な考えだが、以前は人種や階級や職業といった属性からファッションが自然と生まれ、それが文化となっていったと思うが、最近はそういったものを源流としたファッションの流行はなく、生み出されたものになっていると思っている。カーティの姿勢は、Quadropheniaのモッズよりも現代に近い時代のファッションの捉え方を感じた。
僕は唯一80年代前後のロックだけを普段聴かないため、エルヴィスの血肉となっている当時のロックは新鮮であり、その知らなかった魅力に気付いた。音楽とエルヴィスの怪しい雰囲気がこの作品を魅力的にしていたと思う。
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