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アンダー・ザ・シャドウ 影の魔物のlpのレビュー・感想・評価

3.0
未体験ゾーンの映画たち2019にて鑑賞。アカデミー賞外国語映画賞のイギリス代表に選出されたホラー映画。

イラン=イラク戦争下のイランを舞台に、アパートに現れる「何か」に怯える母娘の物語。
さすがにアカデミー賞にも絡んだ映画とあって、イラン社会・文化情勢をバックグラウンドに置いた硬派な造りになっている。巧いホラー描写もありはするけれど、快楽的な面白さ(恐さ)を期待すると、拍子抜けするかもしれないので要注意。

映画の肝は「何か」を巡る解釈だろう。日常生活に突如として闖入してくる「何か」は、アパートに留まり続ける母娘を「保守」のメタファーと取れば、保守的な価値観に終焉をもたらす「戦争(価値観の転換)」のメタファーと取れるし、シンプルに精神的に不安定な主人公のダークサイドを具現化した存在とも取れる。劇中で様々な要素を提示しつつ、多様な解釈の余地を残す点で、作劇の巧さを感じた。

見応えのあるホラー映画でした。気になる方はぜひ。
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