ゆんぶりっく

D坂の殺人事件のゆんぶりっくのレビュー・感想・評価

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)
3.8
江戸川乱歩の明智小五郎シリーズの映画化作品となる本作は監督実相寺昭雄、主演真田広之のエロティックサスペンス。
このスコアの理由のほぼ100%を占めるのは“全盛期”と言って過言がない真田広之のビジュアルと、妖艶さが素晴らしすぎる為!
推理モノとしてはぶっちゃけ物足りない。

日本絵の贋作師である蕗屋(真田広之)が大江春泥の責め絵「不知火」の完璧な贋作を作り上げたことを評価され、実際には存在しない大江春泥の新作として「明烏(吉原の遊女が折檻される責め絵)」の制作を依頼される。
モデルを使ってデッサンを書き上げるも、あまりの難易度の高さに満足のいく物は作れない蕗屋だったが、化粧をし縛り上げた自分自身の姿にインスピレーションを得たことで存在しないハズの大江春泥の贋作を作り上げる。

モデルである女性に迫られた際に付いた口紅を己の唇に塗り直し鏡を見つめる真田広之の妖艶さが…トンデモねぇ!!
赤い着物を着て自らを縛り上げた状態で一心不乱にデッサンをする真田広之のビジュがヤバ過ぎる!
明智小五郎との推理シーンにおける、顔に影が落ちている真田広之も控えめに言って最高。
もちろん今もダンディイケおじですが、この頃は男性的であり女性的でもある絶妙なバランスの演技が光る一本!!

真田広之ファンの方は是非…!

推理モノとして見ると、犯人の動機が常人では到底理解できない理由なのはまぁ100歩譲っていいとしても、心理実験に対して用意周到に準備し眉ひとつ変えずにこなす男が、誰が来るかもわからない(自分が見られるリスクも大いにある)真っ昼間の古書店の奥で殺人を起こす軽薄さはキャラがぶれているようにも思えるし、明智小五郎が犯人を自白に追い込む屏風の件もなんか唐突な印象は拭えませんでしたね。
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