レインウォッチャー

LUCY/ルーシーのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)
3.5
超展開に超展開が地層くらい重なると、「そうはならんやろ……と・も・言い切れない!」(CV.松陰寺太勇)てなることを知った。

ヒトが普段使える脳の領域は10%、もしもそれが100%に到達したら?
そんなファンタジーサイエンスな思考実験をそのまま映画にしちゃう、それがリュック・ベッソン。この風味は『フィフス・エレメント』のトンデモ全力文化祭の延長にある気がする。

新種のドラッグのとばっちりで脳力が無尽蔵に覚醒していく女性ルーシーをS・ヨハンソン、彼女が頼りにする脳科学者ノーマン博士には茂木健一郎…じゃなかったM・フリーマン。
そんな豪華な二人が真面目に演じていて且つ映像は美麗なので、なんとなく深刻ぽい絵面に見えてしまうけれど…どう観てもコメディで良いと思うのですコレ。

脳の活動%が上がっていくにつれ、超人的な力と知識を獲得していくルーシー。対外の電磁波をも操り、ネットを通じて世界中のあらゆる情報へ瞬時にアクセスする。ついに通信電波の光を視認して手で動かしだしたときには「メイプル超合金かよ(※1)」って笑い転げてた。

しかし、なんだかんだ「次はどうなる?」って楽しみになっちゃうのは流石の大喜利力というほかないし、だんだんツッコミの種も切れてきて、冒頭に書いたように「いや、まあでも誰も知らないんだから否定しようもないよね」とか謎の納得に行き着いてしまう。まさかの逃げ切り勝ちである。

そんなエスカレートする物語とルーシーの向かう結末は案の定《哲学》であり、『まどマギ』ばりの《概念》。はいはい、円環の理、円環の理。
ポカーンとなりつつも、「時間を超越して知識を未来へ伝えることこそ生命の究極の目的」という論は、時間媒体である《映画》を作り続ける者からのメッセージとして考えると思いのほか含蓄あるなと思ったりもする。

なんていうか…そんなリュック・ベッソンさんが、わたしは嫌いじゃあないですよ。

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※1:「ここWi-Fi飛んでんな。」つまりカズレーザーは脳が50%以上覚醒した人間だった…?(あながち嘘でもなさそう)