ブタブタ

ラスト・ワールドのブタブタのレビュー・感想・評価

ラスト・ワールド(2013年製作の映画)
2.5
『esエス』や『ウェイヴ』等の思考実験をテーマにした映画。

インドネシア・ジャカルタのインターナショナルスクールで学生20人による特別授業が行われそれは学生20人に架空の人物設定が与えられる。
それが以下の通り。

1. 有機栽培農家
2. 構造工学者
3. 不動産業者
4. 大工
5. オペラ歌手
6. 投資信託者
7. ハープ奏者
8. 宇宙飛行士
9. 科学者
10. 電気技術者
11. ワイン競売人
12. 整形外科医
13. 家政婦
14. ファッションデザイナー
15. アイスクリーム屋
16. 動物学者
17. 心理療法士
18. 軍人
19. アメリカ合衆国上院議員
20. 詩人
(neverまとめより。ありがとうございます)

核戦争が勃発、10人だけが1年間生活できるシェルターがある。
このシェルターに入る人間を全員のディベートで決めるというもの。

現実には教室で生徒達の話し合いが行われているだけ。
でも画面上では核爆弾が投下されシェルターや実際のサバイバルが蹴り広げられる。
落語や漫才の途中でコントが始まったり、実際にはそこに人がいて喋ってるだけなのに見てるこっちはキャラクターが変化していったり場面転換したり、それを映画では実際の映像で見せる1種の脳内バーチャル空間でストーリーが進んでいく。

このアイデアを映画で見たのは初めてだったのですが、イマイチこのアイデアを
活かしきれて無かったと思います。
残念だったのはせっかくバーチャル空間に飛んだりとかSF的にも使える仕掛けがあるのですから、例えばいつの間にかバーチャル空間から帰れなくなったりとか現実との境がドグラ・マグラ的にどんどん曖昧になっていったりとか。
でもそんな展開にはならず又生徒達も非常に理性的で優等生が揃っており(多分いいクラスなんでしょうけど)話し合いで粛々と話しが進んでしまう。

こういう思考実験がテーマの場合途中で必ず実験が破綻する、1部の人間が暴走を始めたりする『エス』の様な展開になると言いますか、そうでなくては話しが盛り上がらないと思うのですが、本作は特にそんなことも無く最後まで行ってしまうのでアイデアは良かったのにそのへんが惜しいと思いました。

生徒達は殆どいい子達ばかりですが、
この実験授業を開いた教師が唯一ロクでもない奴で(笑)
この実験を始めるさい、最初にズルと言うかある仕掛けをしてる所が少し「アイヒマン・プロジェクト」に似てるとな思いました。

映像的にはアンコールワットの遺跡をバックに核爆弾のキノコ雲が上がるとか印象的なシーンも多かったのでもう少しストーリーに盛り上がりがあったら良かったです。
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