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オッペンハイマーのブタブタのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.0
先日武蔵野ミュージアムの『永野護デザイン展』行ってきたのですが永野護『ファイブスター物語』の第一話はアマテラスが星団統一した話としてはラストから始まって、そこに至る過程を描くのですかアレは永野先生曰く別に過去に遡っているのではなく「時間がそういう風に流れている」のだと。
『オッペンハイマー』も「オッペンハイマー事件」の事実上のオッペンハイマー弾劾裁判から始まって学生時代、原爆開発等の時間がランダムに時系列の混乱とシャッフルによって描かれるのはつまり「時間がそういう風に流れている」
之は映画で何があったのかは「歴史」で全部結果はわかってるので、過去現在未来に自由に時空間が移動するのはそれこそが「映画」の醍醐味で、この映画自体が「観測する迄は結果が決定されない」シュレーディンガーの猫、量子力学の法則に乗っ取ってる。
最後に現れたアインシュタインも本物じゃなくてあくまでオッペンハイマーにしか見えてない存在だよね?
なのでクライマックスに進むに連れて時系列シャッフルが影を潜めてしまったのは少し中途半端な感じがした。
ロバートダウニーJrオスカー受賞おめでとう㊗️
あのオスカーは今やスッカリ落ちぶれたMARVEL映画を長年支えた『アイアンマン』トニースタークへの功労賞も含まれると思って。
あのオスカー受賞式のキーホイクアンに対する態度見れば白人から見たアジア人なんて所詮こんなもんて思う。
「贖罪」とか言っても一般市民の頭上に原爆落とした連中に何か期待する事自体間違い。

ソクーロフ『太陽』で天皇による東京大空襲を幻視するシーン、空飛ぶ巨大な魚が卵を産むとそれが小魚になり焼夷弾になり帝都に降り注ぐ。
まるでベクシンスキーの絵みたいな、生物兵器による未来の悪夢的最終戦争の如き幻想の戦争。
『オッペンハイマー』もオッペンハイマーが幻想の原爆投下、世界の終末を幻視するシーンがあると聞きあの『太陽』の東京大空襲を超える幻想の原爆投下シーンが見られると思ったのだけど、アレじゃちょっと弱い。
ヒトラーがV2ロケットに原爆乗せて世界滅ぼすくらいの映像をノーラン監督にはやって欲しかったのだけど。

『煙幕の下で~軍都の記憶~』というドキュメンタリーで長崎への原爆投下は実は最初の投下予定地は陸軍兵器工廠があった小倉だったと。
其れが爆撃を防ぐ為にみんな総出で毎日煙幕炊いてアメリカ軍飛行機による観測をできなくして結局原爆投下を断念させたという。
当時、その「煙幕作戦」に参加した人は自分達のせいで代わりに長崎の人達を原爆の犠牲にしてしまったという責任に苛まれていたが、自分は率直な感想として原爆って最新テクノロジー、最終兵器を皆で煙幕炊くってアナログな方法で断念させた小倉の人達スゲーって思ったんですが。

日本では公開が遅れに遅れたせいで『関心領域』とほぼ連続公開になるけど願わくば『オッペンハイマー』見て『関心領域』見たら「ナチスがもうちょっと頑張ってユダヤ人ZETSUMETSUさせてればイスラエル何て存在してないしガザの虐殺もなかったのに」みたいな気分にならない事を💥💥💥
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