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マジック・マイクXXLのCinemanのレビュー・感想・評価

マジック・マイクXXL(2015年製作の映画)
3.6
今回のMVPはマンガニエロ様でしょ。
特にガソスタのルーティン‼︎

マンガニエロ様、true bloodの生真面目狼人間のイメージから入ったから、こんなに軟派な役もいけるとは。
こういう役もっとやって〜

少数派の感想かもしれないけど、ソダーバーグよりもストーリーがあったと思う。ハリウッド王道らしさにより近づいたけど、かえって各キャラが誰かの人生の脇役でなく、際立っててより丁寧な感じすらした。
これ多分、前作はストリップという世界自体が主役だったのに対して、今回は5人が主役だったからでしょうね。

テーマ性も悪くない。一作目はストリップ世界の厳しさを描くためにホモソーシャルな世界観は特に無批判で垂れ流してたので、これだとストリップの一面しか見えなかったよね。
今回は旅回りストリッパーでいわゆる「箱」の利権巡りとかの権力関係の話を潔く切ったから、青春ドラマばりの一人一人のストリッパーの人生の一部としてのストリップに脚光を当てられてたよね。
だから、俺たちmale entertainerだ、女性のhealerなんだ、みたいなところが自然に前に出せていてよかった。bro timeじゃなくてshow timeという名台詞もあったし。界隈の話としては甘すぎるのかもしれないけど、こういう角度もありというか。
客に対してもentertainerとしての意義を考える人もいると思うよね。自信を失った経験がある男たちだからこそ、素直に女性のためにやってるんだって言えるようになったのかもしれないし。
この辺はむしろ「フルモンティ」のテーマに近づいたと思うけど、あちらが「男らしさ」というホモソーシャルのクローゼットから抜け出すまでの話だったとすると、こちらはそこからentertainerとして自信を持って女性たちとの関係の中で自分を気づき直すところまで行くので、隔世の感と同時にお国柄の違いも感じますね。

そこへ来てのMCがマコ様→ジェイダ氏という女性に変わったのはすごく大きかった。ジェイダのMCさすがだな〜これこれって感じで。
彼女の持ってるストリップクラブのロングテイクがまたよかった。前作ではストリップ世界の厳しさという割にパフォーマンスクオリティーの基準がマイクしかいなかったので、今回のばちばちプロの世界の現実を補完してるのはよかった。
そして作中でもツッコミあったけど、白人ストリップが中心だった本作に黒人ストリップの世界観を導入したのも功績。
あとはスタイルの違いで、歌で心掴むソフトタイプもあれば、フィジカルに攻めるものも。あー色々でいいんだよなあ、とマイクたち共々思った次第。笑

終わりかたのさっぱり具合も好き。だってこれの前後って想像つくもの。描くまでもない。
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