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グリーン・インフェルノのくりふのレビュー・感想・評価

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
4.0
【料理映画史にその名を刻む傑作】

したまちコメディ映画祭のプレミア上映に行きました。オモロかったああぁ!不謹慎エンタメの快作であり、世界料理映画ベスト10に入れるべき傑作です。

食人族映画をきちんと新味(笑)の面白さで復活させたのが見事だし、物語的に何か所か、ここで分岐したら新たなドラマが生まれそう…という豊かさを孕んでいるところも感心しました。

始めは外したかと思いました。なんちゃってエコロジストの学生を懲らしめるプロットに小さくまとめるんか思って。ところがところが吹っ飛びますねそんなもん。生きるとはただ食うか食われるかだけだ!と高らかに宣言する清々しい仕上がりです。

いやー、浅草でカツ丼食ってから入場して大正解だった!

食人族による「お料理タイム」になってからが俄然面白い。本物の調理風景を人体調理とモンタージュしているわけですが、これが…美味しそうなんですよ!(笑) 映像から人体の痕跡を隠せば、豚の燻製あたりと見分けがつかないでしょう。料理の腕前は、レクターさんとどっちが上だろう?

原住民さんは、ヘルツォークさえ行かなかったアマゾン奥地でスカウトし、映画なんて知らないから『食人族』のDVDを見せたらバカウケで(コメディと思ったらしい)、喜んで演じてくれたらしい。彼らのナチュラルな演技がとてもいいのです。昔は本当に人、食ってたんじゃないかな?

で、ある子役が素晴らしい!この子がゲテモノ映画をポエットに変えています。…いいのか悪いのか(笑)。

ヒロインのお姉さん、ポロリは当然の上、貞操どころか「股間切り株」の危機と闘う凄まじき役どころですが、イーライ・ロスの奥さんなんですね。…なるほど(笑)。

でも原住民ルックの時、ひも褌を素肌でなくパンツの上に履くのはズルですよ。嫁に甘いなイーライ!

その他、カニバルシーンはほんと笑えます。カニバリズム・コメディというジャンルをここまで極めた作品はやまだかつてないと思います。

したコメで上映もちょー納得、の一夜でありました。上映後の、高橋ヨシキさんの食人族映画講義は大変勉強になりました。チンコの刺身とかね。

対して、映画秘宝20周年記念トークショーはボロボロ。腹立つくらい。誰だあんな失礼な酔っ払い連れてきたの。そんなだから『進撃の巨人』SNSが荒れるんだよ(笑)。

…でも、お別れの曲を日曜洋画劇場のテーマこと「So in love」で締めたのはよかったですよ。

<2015.9.23記>
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