このレビューはネタバレを含みます
Fury号というM4シャーマン戦車に配属された新兵のノーマンが過酷な戦場を体験する戦争映画。
恐らくキリスト教的なモチーフが多い作品だ。特に特筆すべき箇所は最後の戦闘。
十字路で履帯を切られ動けなくなったシャーマンは、ドイツ軍のSSとの戦闘になる。
このシーンはリアリティはないが、何故このようになったのか?
これはキリストの受難に戦車とその兵士を準えているのだろう。十字路で拷問される様に戦車は敵の猛攻に晒され、鋼鉄の装甲は無数の敵兵に撃たれ痛めつけらる。左側面にパンツァーファウストを被弾するのは、ロンギヌスの槍の暗喩だろう。そしてFuryの兵士たちはノーマンを残して全員戦死していく。
キリストは人の罪を背負って死んだという。
それと同じく兵士も戦争という人の罪、その最前線ですり減って死んでいく。立派な反戦映画だと思った。