ゆりえ

ヴェルサイユの宮廷庭師のゆりえのネタバレレビュー・内容・結末

ヴェルサイユの宮廷庭師(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

※マティアス・スーナールツが大好きなのでその立場から感想を記録します
「フランス組曲」を観て以降、マティアス・スーナールツにドハマりしてしまい、ここのところ貪るように出演映画を見ていた。
しかしながら、この映画のマティアスはルネッサンスの絵画のごとしヴェルサイユ風。
勝手ながら、私にとって外見はまったく響かないスタイルだったので、かえって自分のマティアス ヒートに歯止めがかかるかもしれない と思い鑑賞。
いわば鎮静剤のつもりで投入した。

結果さらに情熱がヒートアップしたわけであるが、映画の雰囲気そのものも面白かった。

まずアラン・リックマンが昔 グラフィックデザイナーであったことを初めて知ったのだけれど、見ていて納得。
例えば冒頭のタイトルバックの芝生とテキストの配置、音楽の入り方が、
なんて言うんだろう?すごく画的に格好のいいものだった。

「好きになれないかも」と思っていたマティアスのロン毛、ヴェルサイユ衣装も、
アンニュイで知的な表情とマッチしていて、造作の美しさをかえって証明する形になっているではないか!
織り目の美しい布地にマッチョボディを封印し(やっぱり途中出すけど)、おさえたトーンで話す姿は、別ベクトルの色気があった。(ごくり)
途中 歌うシーンがあったけれど、あれがマティアス本人のものであるかは、不明。

主役であるケイト・ウィンスレットも、たくさんある感想の中にはたくましすぎるなどと意見もあったけれど、
男に混じっての庭仕事、あの二の腕のたくましさには説得力を感じる。
カオスと表現される、自然で色とりどりの庭の風景の中に佇む姿はすごく綺麗だった。本当に一枚の絵画を観ているみたい。

とても好きなシーンがあって、
マティアスの妻の策略により庭園建設の続行が危ぶまれる中、逆に二人の関係は確かなものになっていくのだけれど、こんなセリフがあった。
ケイト:「空腹なら満たしてあげる」 「(Are you hungry?)あなた空腹なの?」
マティアス:「(Stuffy)苦しいほどに」
お互いの微妙な心の距離感をはかるロマンチックなシーンであるが、
待ってましたと言わんばかりのマティアスの返しが、洒落ているんだけれども、か、かわいい!

それにしてもマティアスの「この人のことが本当に好きなんです」という感じの、うっとりとした優しげな表情に、
演技だとわかってはいても、ついうっかり騙されてしまいそうになる。危ない危ない。ふ〜。

いやまてよ? 騙されたっていいではないか。何減るわけでもなし。
何度だって騙されたっていいさ。マティアス・スーナールツになら。
ゆりえ

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