1999年、ロシアがチェチェンに進攻する。目の前で両親を殺されたハジ(アブドゥル・カリム・マムツィエフ)は声を失い、放浪の果てにEU職員のキャロル(ベレニス・ベジョ)と出会う。2人は交流を深め、ハジは声を取り戻し、キャロルは自分の役割に目覚めていく。
「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督が戦争難民を描いた作品。
特に最初はドキュメンタリーかと思うような映像で、人の命を奪う様子が壮絶過ぎる。すべての映像に驚愕し圧倒された。
EU職員を演じたベレニス・ベジョが絶妙にドラマ性を生み出して、しっかりストーリーが見えてくる。逆にアネット・ベニングはハリウッド女優色が強すぎたかもしれない。
そして、ハジ役の子供がリアル!あんな、ぽろぽろ泣かれたら、それだけでこっちもウルウルきちゃう!
並行して、一人のロシア青年の変貌が描かれるんだけど、ラストですべてが繋がってくる。
これはお見事。さすがアザナヴィシウス監督。
しかし、ロシア軍のモラルの低さには愕然とする。全員がああじゃないだろうけど、少なからず洗脳されてるんじゃないかと思ってしまった。
作品の舞台は20年以上前だが、チェチェン、ウクライナと、ロシア(の指導者)は全く同じことを繰り返して、何万人、何十万人の人間を傷つけ続けている。
何とかして、ロシアの人々にこういう作品を観てもらえないだろうか。