歴史上の人物を映画にするときに、人生のどこの時間を切り取るかってことになるんだろうけど、ウィリアム・ターナーなら理髪店の息子がどうやって偉大な画家になったのか、それこそ嘘でも良いからイケメン俳優でも使ってそのへんを描いても良いのに、この晩年の日々を描いたってとこがまず素晴らしいと思いました。
英国人にとってのターナーは、そんなミーハーな存在ではないってことなんでしょう。
しかも演じるのはティモシー・スポール。
彼を支えた晩年の父親との関係や、元嫁、新しい出会いなど、日々を淡々と描きながらたまにピリつくような会話劇が入っているのは、この監督だから?
唾を吐きながら描いたりしたのは本当かな。顔料とかの頃は、そういうのはよくあることだったのか。
ところでこの映画は2014年公開らしいけど、ちょうどその頃日本でターナーの大回顧展が開催されていたと思う。
わたしも神戸の美術館でその展覧会を見に行って、初めてターナーって画家を知ったのでした。
わたしが物知らずなだけなんだろうけど、たしか「真珠の耳飾りの少女」のときもそうだった気がする。
映画がバーンて話題になって、同時期に大規模なフェルメール展が開かれる。
要するに、広告代理店がからんだ、伝記映画と展覧会の一大ビジネスプロジェクトってわけなんだろうけど、まあこんな映画を見たら、すぐにでも作品を見に行きたくなるもんね。
太陽は神。