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アメリカン・スナイパーのドラのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.0
キャッチコピーは
“米軍史上最多、160人を狙撃した、ひとりの優しい父親”

観たかった理由は、クリント・イーストウッド監督最新作っていうのと、
ブラッドリー・クーパー主演・製作なので。

しょっぱなから観てる間中ずっとつらかった。
作品が面白くないという意味のつらいでは決してない。
物語の展開と見せ方とブラッドリー・クーパーの息遣いが
どんどん重くのしかかってくるというか、
全く別の映画だけど「愛・アムール」を観た時の重さと似た感じがあった。
※偶然だと思うけど最後に共通してるとこがあってはっとしたけど。

あの映画もそうだったけど、こんだけ心にずんと重くのしかかる観せ方って、
観客をその感情に引き込む監督がすごいと思うのよね。
更に、それをぶち壊すか重み=作品の厚みを増すことができるかっていうのを
役者さんが請け負うんだと思うけど、
もうこれブラッドリー・クーパーだから正解だったんだろうなと思う。
私が彼を知ったのは「そんな彼なら捨てちゃえば」のダメ亭主だったけど、
あの“魅力的でちょっと軽くてでも憎めないいい男キャラ”の彼が
160人を狙撃した「伝説」と「悪魔」を演じる。
18kg体重を増やした外見以上に、観たことないブラッドリー・クーパーを体感します。

この映画が戦争を肯定しているとか否定しているとか、
彼は英雄か英雄じゃないかとかそういうことじゃなくて、
ただひたすら人が人と、国が国と争うことの闇というか負の感情を感じまくって、
これまた観た後いろんな感情が渦巻く。

正直、ラストがちょっとあれ?クリント・イーストウッドっぽくないなと思ったんだけど、
実話を元にしている作品なので、
主人公であるクリス・カイルの子どもたちはまだ幼いから、
彼らに配慮したラストシーンとなってると見てなるほどと納得。

しかし毎回毎回、
クリント・イーストウッド作品は下手すると説教臭くなったり、
お涙頂戴的なものだけになりそうなテーマを、
こんだけぐいぐい観客引き込んで
胸の奥の深いところをぎゅっと掴んでくるのがすごいと思うのよね。
毎回圧倒される。

クリント・イーストウッドは今84歳!!
私にとっては彼こそが伝説だけどな・・・。
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