このレビューはネタバレを含みます
カイルの責任感、私が国を守るんだという使命感は、私には想像することもその意思を持つことも不可能なレベルのものだった。
愛する妻と子供がいるあたたかい家庭があるにも関わらず、何度も国を守りに行く。死ぬかもしれないのに。お父さんに、番犬であれ、といわれたことを忠実に守り、戦場では仲間を助け、友人の敵討に行く。
家族よりも死ぬことよりも重要であるという考えが私には理解し難かった。
だが、戦争が人をそうさせるのか…。
銃声、叫び声、鳴き声、破壊音…鼓動は常に早くなり、恐怖と葛藤があるシーンと笑顔と笑い声が溢れ、無防備で穏やかな日々の柔らかさがあまりに対照的で、今のこの日々が当たり前でないことをものすごい重さで感じた。
戦争中は、どこに敵がいて、どこから銃弾が飛んできて、いつ死ぬか、いつ仲間を失うか分からない。帰国しても、PTSDに苦しむカイルの姿や本人と家族の葛藤があり、終始肩の力が抜けず、緊張が解けなかった。
最後の事件は衝撃的で、何ともやるせない気持ちになった。
気持ちがズンと下がってしまったが、改めて戦争の恐ろしさと、皮肉にも自分を取り巻く環境の穏やかさと平和さを感じる作品で、観て良かったと思う。