ぶみ

アメリカン・スナイパーのぶみのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.0
イラク戦争に四度派遣されたアメリカの軍人クリス・カイルの自伝『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』を原作とし、クリント・イーストウッド監督、共同製作、ブラッドリー・クーパー主演、共同製作により映像化した伝記映画。
伝説と称された狙撃手カイルの半生を描く。
役作りのために肉体改造を行なったクーパーの演技は圧巻の一言であり、最初はクーパーがいつ登場するのかと思ってしまったほど。
狙撃手メインの視点であるため、派手な戦闘シーンは少ないものの、静寂の中、解き放たれる銃声を始めとしたリアリティ溢れる戦地の映像は、緊張の連続。
戦場では冷静な狙撃手でありながら、その裏では戦争がもたらす狂気に蝕まれ、家族や戦友等との間で揺れ動くカイルの心情が、イーストウッド監督らしく、多くの台詞はないものの、克明に綴られてゆく。
伝説と称されながらも、それが戦争がもたらした称号であることに、なんとも言えない空虚感を感じつつ、ラストの実際の映像に心を撃ち抜かれる良作。

ある者は名誉を望み、追い求め、ある者は、思わぬことでそれを手に入れる。
名誉とは高潔なる行為に与えられるもの。
僕は問う、いつ名誉は色あせて、誤った道へ進むのか。
なぜ名誉を追うあまり、人は心を疲弊させるのか。
僕が見たのは戦争と、そして、死だ。
ぶみ

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