Torichock

ロスト・リバーのTorichockのレビュー・感想・評価

ロスト・リバー(2014年製作の映画)
3.5
「Lost River/ロスト・リバー」

公開初日に見に行ったくせに、忙しさにかまけて、全然レビューをないていなかったので、今更書き起こします。

ズブズブという言葉がどうも響きがいやらしくてハマってしまったので、少し言わせてください。

中村義洋×濱田岳
山崎貴×BUMP OF CHICKEN
ノーラン×マイケル・ケイン
内村×ベッキー
松山ケンイチ×日テレ

いや、言いたいだけです。

世界を虜にしたズブズブ、レフンとゴズリング。
本作は、そのゴズリングの初監督作品です。レフンの出汁がしっかりと染み込んだゴズリング映画は、ズブズブとはいえ、出汁の効いていても既視感を感じさせないフレッシュな作品でした。
見放された街、ロスト・リバーで、悪夢を断ち切る家族の話。
ロスト・リバーというディストピアとも言える街の荒れ方や、そこで暴れまわるブリー(いじめっ子)、そして、変態ヤクザみたいなベン・メンデルソン演じるデイブ。
世界観の完成度はなかなかのものでした。
出来事や恐怖の象徴は、常に画面の真ん中におき左右対称。でも、手ぶれ感で恐怖も煽りつつ、グレーがかった街の色とネオン色に光るナイトクラブと、異常な殺人ショー。

ムッチムチをはるかに超えたクリスティーナ・ヘンドリックスが、この街で必死に生きようとする姿。
この退廃的な場所で、優しく生きようとするシアーシャ・ローナン。(今回もかわえぇ!)
名前のないドライバーが家族を救うというラストも、なんか良い。
ちなみにこのドライバー、どこかで見た顔だなぁと思い出せずに気持ち悪くしていたら、"ゼロ・ダーク・サーティ"で、ジェイソン・クラークにひたすら虐待される捕虜でした。

撮影された街はデトロイト。かつて、車産業でアメリカン・ドリームを築いた街も、今はダウンタウンの空洞化や財政破綻で、貧困に困る人が多いらしいです。
これはまさに、ロスト・リバーという街自体が、デトロイトをトレースしているし、主人公のボンズが川の底に沈む街に潜るのは、かつて夢にあふれた街を飲み込んだ悪魔(アメリカン・ドリームの真の姿)に対峙する
メタファーのように感じました。
また、ハサミを使った暴力シーンはフレッシュでした。断ち切るという暴力性と、唇を切られた人間がよだれを垂らしながら生きていくしかない姿は、ゾワッとする怖さ。"シザーハンズ"がアホくさく思える武器表現でした。

難解で不可解で気持ち悪い、レフン出汁に溢れた処女作ですが、僕は好きと言っていいぐらいに楽しめた映画でした。
なぜなら、ベン・メンデルソンの世界一気持ち悪いシェルダンスで大爆笑できたので!

あの、ダンスを観れただけでも、この映画は観てよかったです。
アホか!
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