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ヴィクとフロ、熊に会うのesのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィクとフロ、熊に会う(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

好きなタイプの作品だった。
多くは語らないからこそ、想像を広げたくなる。画面構成と時間の使い方が魅力的。
カナダだけど言語面だけでなくやっぱりフランス映画の独特の雰囲気と似たものを持っている。

ラ・フォンテーヌの「熊の敷石」の寓話を思い出した。
冒頭の"熊"という言葉といい、もしかしたら意識しているのかもしれない。森に住み物言わぬ花だけを愛し園芸を営む孤独な老人と、一人でいる事に飽きて山を降りてきた熊の話。老人と熊は意気投合し親しくなり共に暮らしはじめる。熊にとって大切な仕事は、老人が寝ている際に蝿を追い払う事。ある日昼寝をしている老人の顔に蠅が止まったので熊はあらゆる手段で追い払おうとするも上手くは行かず躍起になり蠅が止まった老人の顔めがけて敷石を投げて見事しとめた。
善意が最悪の事態を引き起こす。この逸話からフランス語では「熊の敷石」"le pave de l'ours"は「お節介・余計なお世話」を意味するらしい。
園芸をする孤独な老人と暇を持て余した熊、少しこの話と重なる。

フロが買った恨みに巻き込まれるという悲惨なラストではあるけれど、ヴィクは失うくらいなら共に死ぬ事を望んでいたしある意味本懐だったのかもしれない。
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