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フットノートのrosechocolatのレビュー・感想・評価

フットノート(2011年製作の映画)
3.9
親子鷹というか、同じジャンルでの教授ってのも実際相当珍しいかも。それが話のキモではありますが。

父は高潔と言えば聞こえはいいけど、裏を返せばこだわりが強く恨みがましい。高名な教授の脚注に名前を使われたことだけを誇りにして生きている。学問としてまず形有りき、正統派路線を歩む。

そんな父に取っては、同じジャンルの研究に進んだ息子に対しては物申したいことばかり。
正統派に対しての邪道だったり亜流だとでも言いたげな父なので、当然互いの温かい交流などというものは望めない。

イスラエル賞の授与を巡って繰り広げられる駆け引き、明らかになる確執。象牙の塔の中のコンプレックスに取り巻かれたまま、髑髏のような嫉妬にまみれたまま生涯を終える人間もいれば、意外な想いを見せる人生もある。心を砦に閉じ込めた生き方からの脱却は、なかなか困難だ。
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