rosechocolat

TAR/ターのrosechocolatのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.5
最初の10分くらいずっとケイトが喋りっぱなしの時点で、もうこれはよいしかないと確信。あれだけの長台詞(各所にあったが)をやり切れるのは役になりきった人間だけ。

170分の長尺にも関わらず、余計な説明がなく、話に無駄がない。

人間の栄光と転落が絵に描いたようだけど、リディアは全て失ったように見えて巧妙に転落していて、しかも転落した先でもおそらくは再び同じことを繰り返さざるを得ない予感しかしないラスト。

モンハンっていうのも輪廻転生のようで、自分の不始末がデジタルスタンプで永遠に残る時代においては、一度転落した人間は異次元でしか再生できないのだろう。

崇高なはずのクラッシックの捉え方は正しかったはずなのに、
共に生きる術を間違った人の話、でしょうか。

オケの設定なども、段階別によく練られていて素晴らしい。転落の伏線も。
チェロのあいつも上辺だけってことでしょう。巧妙にのし上がってはみたものの、人は欲に騙されると実に弱いのです。
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