「誰の子どもを産むか、決めるのは女」のはずなのに、どういうわけかそれを決定するのは男になってることがそもそもおかしいって。
産む、
産まない、
こいつの子なら産む、
こいつの子はいらない、
今は産みたくない。
それらを決められないのは、この当時も今も、根底は同じような気がするんです。
出産について、自分で決めているようで実は
「決めさせられている」
ことのなんと多いこと。
妊娠したら未来はない、
まして中絶したら刑務所行きだなんて
地獄でしょう。
アンヌの叫び声を聞いていると、
自分にもその痛みの辛さが伝わってくるくるようで、本当にこころが痛くなります。
そしてここに出てくる男どもの、
どいつもこいつもどうしようもない描かれ方。
誰1人として親身にならない、責任取らないのは、
許された妊娠でも、許されない妊娠でも同じような気がする。
同性だって、利害が絡んだら背を向けることのいい見本。
女同士で、「女」という性を分かち合えない現実がある。
とにかく自分に不利益なことには、
ひとは冷たいということです。
そして妊娠で苦労するのは女だけ。
世の男どもにこの映画を観てほしいですね。
サンドリーヌ・ボヌールもですけど、
アナ・ムグラリスの見せる凄みですね。
この役は彼女しかできない。
アナマリア・バルトロメイも熱演でした。
