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ぼくを探しにのmimocyanのレビュー・感想・評価

ぼくを探しに(2013年製作の映画)
3.5
「ヴェルヴィル・ランデブー」のシルヴァン・ショメ監督の長編実写初監督作品。

たまにえぇ~?と思うところもままあるんだけど、どうにも許せてしまうのは、作品が持ってる優しさのせいなのか。
ヴェルヴィル・ランデヴーと同じく、主人公は基本的に喋らない。喋らない心閉じ籠りなピアニスト青年が、同じアパートにすむ妖しいハーブおばさんとの出会いによって、自分が言葉を失う理由にもなった両親の記憶を紐解いていくお話。

色彩はPOPだし、大家に内緒で作った部屋の中の畑とか、メルヘンチックでファジーだけど、いやいや結構これ深くて重いよ。
主人公を取り巻く状況や、失っていくものの無情さ、隠されていた真実。なんとなくみてると素通りしちゃいそうだけど、結構胸が痛くなる要素ありあり。
途中で、プロレスの話が入ってくるのは「100歳の少年と12通の手紙」が思い浮かんだ。フランス映画で描かれるプロレスのコミカルさは結構好き。しかも意外に重要なんだよねここ。

あぁ、彼は乗り越えたんだなってわかるラストがいいなぁ。
優しさと悲しみが混ざりあい、やがてひとつになって愛情は受け継がれていくのですね。
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