おばけの酸味

ある優しき殺人者の記録のおばけの酸味のレビュー・感想・評価

ある優しき殺人者の記録(2014年製作の映画)
4.0
いつも不安にさせるけど気づけばいつもの白石晃士で安心する、みたいなのを毎度やらされている。もはや映画というDVを受けているような感覚。これこそが正しく愛と暴力を映し出す白石晃士作品の真骨頂ですらあるのかもしれない。とにかくハマり過ぎている。

あまりにも突拍子も無い、ご都合主義のような展開。説得力もないようなもの、でも感動させられる。
これが力量で黙らされる感覚なのか?力でねじ伏せられた末に生じるただのバグなのか?もう無粋なことは言わずにただ感じ入っていたい。まるでSMプレイみたいではないか。本当に気持ちがいい。強い力に捻じ伏せられて気持ちが良い、という感覚を映画で感じられるなんて、かなり幸せかもしれない。出会えて良かった。

様子のおかしいキャラクターと、様子のおかしい人間が同軸に存在しているように思えて、観ているこっちは変な感覚だった。
何をどこまで意識して撮っているのかよくわからないけれど、今は色んなところに散りばめられた監督の性癖を拾い集めることに夢中なので、まだ全然わからなくていい。あとあんまり自分が何を言ってるのかもわからない。

毎度出てくる役者さん達が魅力的なのもすごい。鑑賞後についつい全員の他出演作などを調べてしまう。

近日公開の『サユリ』も楽しみだし、まだ観られていない『超・悪人』も本当に観たい。これからも目が離せない白石晃士監督。いつも本当にありがとうございます。助かってます。
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