しちれゆ

悪童日記のしちれゆのレビュー・感想・評価

悪童日記(2013年製作の映画)
4.2
第二次大戦下 祖母の家に預けられた双子の兄弟。祖母にこき使われ殴られ腐ったスープを与えられ…兄弟は父に貰った日記帳に過酷な日々を記していく。生き残るためにものを盗み、神父を強請(ゆす)り、笑うことを忘れる。ある日 鶏を殺し「これを焼いて!」と言った兄弟と祖母の関係はここを起点として逆転していく。そして芽生える祖母への愛着。
離れに住む将校の、兄弟に対する尋常ならざる感情、隣家の少女の悲惨な死と放火、靴屋を密告した女性への復讐等々を織り込んで物語は兄弟の別れへと進んでいく。もはや父も母も必要としなくなった兄弟は母を拒み見る影もない父を冷徹に見つめる。
父の死体を踏みつけて国境を越える少年とこちら側からそれを見つめる少年。
世の中の残酷と理不尽を知り、善悪や倫理の及ばない世界に掠め取られていく兄弟が恐ろしくも悲しい。
ところどころで打楽器の音が効果的に使われ不穏な空気を際だたせる。
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