ひろ

海街diaryのひろのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.2
綾瀬はるかが、広瀬すずと一緒に暮らす事を決めた理由が無い。さらに、同居を提案された広瀬すずが賛同する理由が無い。
描かれているのは見事に行動のみで、行動を起こす理由が無い。本作で要となる「同居」を、説明せずに描ける強さこそ映画だ。

長澤まさみの艶かしい足から始まる本作は、とにかく足を意識させてくる。サッカーボールの足さばき、山道を懸命に歩く足、食事シーンでの立て膝、海辺での足のサイズ。そして、ラストで画面奥へと歩む4人の足跡は、過去を消し去るように消えて行く。美しい…。

本作で気になる箇所が2つある。
是枝裕和の作品は『歩いても 歩いても』から顕著になった気もするが、俳優の芝居が"自然風"になっている。ウェス・アンダーソンの作品で俳優が皆、あえて不自然であるのと同様に。ただ、本作では風吹ジュンだけが何故か"自然風"に見えない。これは何なんだろうか。
カメラがやや動く。フィックスかと思えば、わずかに動くカメラに違和感を覚える。小津と比べられないようになのか何なのか分からない。

四季を大事にした作品であるのは観れば一目瞭然だが、本作は北野武『HANA-BI』と同様、日本らしさを画面に映し出し過ぎており、海外受けを狙ってるように見えてしまい、少し気持ち悪い。

長澤まさみが樹木希林のモノマネをするのが観られる貴重な映画なので、あまり悪く言う気にはなれない。
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